子どもの頃、私は留守番が苦手でした。
小学3年生まで住んでいた家で一人で居間にいると、決まって同じ場所で
「誰かに見られている」
そんな感覚になるのです。
怖くて動けなくなることも、一度や二度ではありませんでした。
当時は本気で
「おばけなのかもしれない」
と思っていました。
それから何年も経ち、中学生の頃だったでしょうか。
テレビで、
「聞こえない低い音(低周波)が、人に不思議な感覚を与えることがある」
という研究を紹介していました。
換気扇が出していた低周波によって、研究者が
「誰かがいる気がする」
「視線を感じる」
と体験したという内容でした。
それの話を聞いた私は
「あの時の体験はおばけではなく、音や振動だったのかもしれない。」
と、とても腑に落ちたのです。
現在も音の研究は続いていて、
「本当に低周波が原因なのか」は
はっきり結論が出ているわけではありません。
子どもは大人より耳が良いと言われます。
聞こえないと思っている音やわずかな振動を、大人より敏感に感じていることがあるのかもしれません。
もちろん、私の体験も本当の理由は分かりません。
でも、もし同じような体験をしたお子さんがいたら、
「もしかしたらおばけじゃなくて、聞こえない音や振動なのかもしれないね。」
そんなふうに話してあげるだけでも、少し安心できる子がいるのではないでしょうか。
ピアノの仕事をしていると、音の世界は思っている以上に奥深いものだと感じます。
ですから私は、あの頃の出来事も、そんな音の不思議の一つだったのかもしれないと思っています。
