毎年この時期になると、調律に伺うお宅があります。
その応接間に置かれたピアノを調律する時間は、私にとって特別なひとときです。
そのお部屋は、まるで時が止まったようなレトロな空間。
寄木貼りの床、型ガラスの窓、布張りの壁、そして飾り彫が美しいライティングビューロー。
ひとつひとつの要素が響き合い、心に沁みるようなあたたかさを感じさせてくれます。
そんな空間でお仕事ができることを、とても幸せに思っています。
実は、私は昔から「装飾のある建物」や「細部まで心を配った空間」が大好きです。
Amazonプライムビデオで何度も観ている『名建築で昼食を』という番組の中でも、「乙女建築」と呼ばれる建物たちに心を奪われました。
やわらかな色合いや繊細な意匠、時代を越えて残る装飾の美しさ。
そうしたものに触れると、ただそこに居るだけで心が満たされていくように感じます。
まだ見に行けていない場所がいくつもあるのですが、いつか足を運んで、じっくり味わいたい。
そんな「好きなもの」を想う時間そのものが、日々の私に豊かさを与えてくれています。
あなたの心を満たす“好きな空間”は、どんな場所ですか?
調律に伺った際に、ぜひ教えていただけたら嬉しいです。